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「灰色の虹」  [書庫]


灰色の虹

灰色の虹

  • 作者: 貫井 徳郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/10
  • メディア: 単行本



初読の作家さんでした。
文体は癖がなく読みやすいです。

テーマは「冤罪」そして「復讐」

容姿にコンプレックスを持ちいつも気弱に足元を見つめるようにうつむいて過ごしてきた主人公江木雅史。
だが、家庭的には明るくバイタリティある母と姉、気弱だが一本気でまじめな父と穏やかに過ごし会社では多少軽んじられながらもまじめに仕事に精を出していた彼。
同僚の似た者同士のような地味だけどまじめな人付き合いの下手な彼女と結婚の約束もでき今から彼の人生も平凡ながら静かな暮らしが待っているはずだった。

彼の上司が殺害された事件でトンデモない刑事に目をつけられてしまった彼は持ち前の気弱さゆえに自白をしてしまう。
やってもいない殺人が一人の刑事の思い込みと目撃証言者の無責任な言動とが不幸な相乗効果をあげて彼は起訴される。

エリート街道をまっしぐらに突き進んできた検事は自白調書のみしか見ず、弁護士は裕福では無い彼の弁護にあまり熱心にはなれず・・
彼は最高裁まで何度もくじけそうになりながら戦うが結局殺人犯として刑を受け7年後に出てくる。

そこから彼の復讐劇が始まる。

この中で彼の復讐に値する人間がいるとしたら、それは最初に出てくる刑事といい加減な目撃証言をした証人だと私は思う。
弁護士はさすがにいい加減で嫌な奴だが、警察で自白し、検察庁でも認めてしまっている以上それをひっくり返すのはドラマでない限りそう簡単ではないし、目撃証人(これがそもそもいい加減なんだけど)のはっきりと「この人に間違いありません」と法廷で証言されてしまったら手の打ちようがない気がする…・。

検事も確かに人間味の少ない嫌な奴だが、検事としては優秀なのだと思う。
感情をできる限り抑えるあたりもエリート検事としては当たり前なのだろうし…。
裁判官にいたっては復讐の範疇にはいることの方が怖いなあと思う。

結局あのいい加減な目撃証言(この証人は結局復讐されず助かっちゃうけど)と自白がすべてと考えて強引な捜査と供述を創作する刑事がいたことがすべての悲劇の始まりなのだけど…。

冤罪というものの怖さと悲劇がストレートに伝わってくる。
ただ復讐という視点で見ればかなり雑だ。
どこまでが彼の犯行でどれが彼が関わっていないのか判別できないところが多々ある。

いろいろな人物が現れては消えてゆくので時々人物の整理をしながらでないと状況がわからなくなるところがある。

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